川上カーマスートラ

海外での生活

Viva La Vida Bali

 

6月10日、一日かけてバリ島に到着した。
バリといったら常夏サンシャインを想像するけれど、僕が着いたときは真夜中で、ぬるい雨が降っていた。
湿っぽいなぁ…。
バンコクで買ってしまった格安ギターはもう運ぶだけとなっており、トッピングでちょっと濡れるくらい。
この日もまた買ったことを後悔しつつ、タクシーで宿へと向かった。

到着すると、フロントで気怠そうに携帯をいじるおっちゃんが。
(タイとベトナムしか行ってないけれど、割と快適なところで働いている人の方がしんどそうにしているような気がする。その分モーターサイの運転手とか、露店販売とか、ほとんど路上で働いている人のエネルギーを強く感じる。)
おっちゃんにお金を払うと、不愛想に鍵を渡される。
英語がよく聞き取れなかったため、「はいはい~、今準備してますよ~、今から部屋案内してくれるんでしょ~、ちょっと待ってね~」みたいな雰囲気を全身から放ち、時をかせぐ。
するとおっちゃんは、「何をしている、早くいけ」と言わんばかりに、ルームナンバーを僕に言い渡し、ポコパンかパズドラだかを再開するのだった。

格安のドミトリー。
ブッキングドットコムで予約したところ、6人部屋となっていた。
いろんな国の人が交わるドミトリーはけっこう好きで、部屋に入る瞬間はドキドキする。
今日の宿はどんなGUYSがたむろしているのだろう。

扉を開けるとそこでは男女が一つになろうとしていた。

意味は察してほしい。
しかも結構薄暗い部屋だったので、扉から何歩か進んだところでやっと気づき、後にも引けない状況へ。
これはまずい、と考える暇はなく、条件反射で「sorry」が口から出ていた。
この時ばかりは謝り続ける人生で良かったと思う。

状況としては、恐らく番号からしてここなのだろうベッドの隣で、ほとんど全裸に近い状態の男女が気まずそうにこちらを伺っているようなかんじ。

おいおいここはドミトリーのはずだけど。なぜカップルがいるんだよぅ。
なんか言うべきだろうか。
「Why are you in this room? 」んん違うな。どこの国の説教オヤジだ。
それともこのハートビートを言葉にしてみようか。
「May I participate too?」
んんん、僕の中の天使と悪魔が激論を交わしている。
「さっきのおっちゃんに部屋を変えてもらうように言うの!」と天使。
「いや、もうちょっと様子を見よう」と悪魔は好奇心が強い。
「何言ってるの!あなたはお金を払っているのよ!」
「黙りやがれ。さっきのおっちゃんに言ったところでどうなる」
「それでも言ってみるだけの…」
「実は知っててあのテンションなのかも。」
若干悪魔が優勢にあ...


『Where are you from?』



突然、凝固してしまった空気に亀裂をいれたその言葉に、僕は耳を疑った。
誰の口から出た。悪魔貴様か?天使貴様か?
「違うでやんす!僕たちじゃないでやんーす!」

となるとカップルだ。
僕は恐る恐る振り返り、彼らに顔を向ける。
するとどうだろう。
COLDPLAYのボーカルそっくりの彼氏がにやにやとこちらを見ているではないか。

美しき生命を予感させるこの状況で、その質問はあまりに素っ頓狂ではないか!?
そんな悠長なことを言っている場合なのか!?
これが海外ってやつなのか!?
カルチャーショックにやられてしまった僕は、「ジャパーン…ジュパーン…」と二回言った。



そんな彼ら(男:イタリア人,女:インドネシア人)ともなんだか仲良くなり、今ではyoutubeでお気に入りの曲を一曲ずつ交互に流し合うという間柄だ。
僕は日本代表として、ひたすら笹口騒音ハーモニカを流しまくったのだけど、かなり反応がいい。
以前アルゼンチン人が笹口騒音ハーモニカを絶賛していたというのを聞いたけれど、ほんとに海外ウケがいいみたいだ。
少々過激な『プロポーズ』という曲を流した後に、なぜかインドネシアの女が、人間がライオンに咬まれる動画をチョイスして、aw..oh...とか、fucking animalとか言ってるときは、一体どうしちゃったんだろうと思いました。


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