川上カーマスートラ

海外での生活

谷本真奈美(仮名)

和辻哲郎の「風土」という本がなかなか読み進められない。

そもそもバリ島のビーチで読めるような本ではないことに気付き、そのころからずっと小説に飢えている。
バリ島でまさかの角田光代空中庭園」を発見し、鹿児島でも彼女が今アツいようなので迷わず購入。

読み終わって、昔家の掃除をしていた頃を思い出した。
これは、僕は平気なのだけれど、どこまで書いたらいいのかわからない。
あれはたしか年末だったと思う。

何故かわからないけれど親の部屋を掃除していた。

箪笥の上のホコリをとろうと思って、重ねられていたお中元か何かの箱を取ったのだけれど、それののしに、見覚えのあるようで、見覚えのない名前があった。

「谷本真奈美」(仮名)

なんだこれは。
真奈美(仮名)はたしかに僕の母親の名前だけれど、谷本ってなんだ。
川上じゃないのか。
母の旧姓は稲本(仮名)。(ちょっとわけわからなくなってきそうだけれど、プライバシー保護のため…)

稲本真奈美なら理解できる。
母が結婚する前にもらった物かと納得がいく。
しかし谷本とは一体。

高校生にして、母のバツイチを疑う。

「おかーさん、谷本真奈美って何ー?」

デリカシーに欠けているのは誰の遺伝なのだろうか。
二階から叫ぶ。

母は無言のまま二階に上がってきて箱を見つめ、「さぁ、なんだろうね」と、疑う余地有り余るリアクションをしたけれど、どこまで掘っていいものなのか。
心の準備は整っていない。
いや、家系図を鑑みて明らかに突然変異の、このヒゲの濃さの原因を突き止められるのならば、なんだって受け止めよう、とすぐに準備は整った。

さぁ来るならこい。僕のヒゲの濃さは谷本ゆずりなのか。

しかし母はそそくさと掃除を続けてしまった。

何か思い出しているのだろうか。
告白しようか迷っているのだろうか。
それとも、本当になんでもないただの思い過ごしなのか。

事実は知らない。
だけどそれは、別に知ってもいい事実ではある。

しかし反対に、小説に出てくるような、実母を殺してやりたいほど憎んでるとか、娘くらいの女と不倫してるとかは、知らなくてもいい事実。

思ったのは、知らなくてもいい事実には気付かないふりをするべきだけど(気付かないのが一番いい)、知ってもいい事実には気付いちゃったふりをするのがいいのかもしれない。
これはかなりナイーブな問題で、息子のエロ本問題とかには、絶対口出ししちゃだめだが、ようは受け入れる側の気の利かせようだと思う。
「もうこの歳だし、バツイチとか全然驚かんぞ」とか言われたらいやだろうか。
そっちの方がたぶん家族としてはお互い楽でいられるような気がする。

勝手に母をバツイチにしてしまったけれど、角田光代さん、面白い作家さんだなと思った。


場所は変わり、ベトナムでは伊坂幸太郎の「オー!ファーザー」を発見。
とにかく小説だったらなんでもいいやと、古本屋で数少ない日本書の中から見つけたのだけれど、これまた家族の話ではないか。
今読んでるところまでざっくり言うと、主人公の高校生男子に父親が4人いて、それはなぜかというと、母が妊娠した時に、その4人の男と付き合っていたからという、かなりむちゃくちゃな内容。

もう一冊は日本で買ったけれど封印していたSF小説
人工知能と、人間の死の話。
序盤から研究者である主人公が大病で死にそうになりながら、「脳をコンピューターで管理して、感覚をコントロールしたら痛みから逃れられるんじゃないかしら」、「もっと言えば、脳が生きていると思えたら、それは生きているということなんじゃないかしら」、と狂気の研究を続けているところ。後半どんなふうにひっぱるのか楽しみ。

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