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川上カーマスートラ

海外での生活

ベトナムの京都 フエ

けたたましいクラクションが朝の4時半から鳴り響く。
それも一度ではない。これでもかと言わんばかりに繰り返されるその轟音によって叩き起こされる。

寝台バスでハノイから、ベトナムの古都フエへと向かっていた。

かなりサイズ感のあるバスだから、まあ狭い道だったら仕方ないよな…と諦念を抱きながら夢うつつだったのだけれど、永遠に鳴りやまないので仕方なく起きてみたところ、僕たちの乗る寝台バスから発されているではないか。
どうやら、割り込んでくるバイクを威嚇して鳴らしまくっているらしい。
スピードも並みじゃないくらい出ている。
寝てる間にハイジャックされたのだろうか。

ベトナムにきて数日が経過したけれど、クラクションの音を聞かない時間がない。
大量のバイクが道路を埋め尽くす光景はベトナムの象徴と化しているが、僕が考えるに、もう逆に鳴らすのがマナーになっているのだと思う。
「私はここにいるからあなた気を付けてね。」
「私が後ろから迫ってるから、あなた注意が必要ですよ。」
その合図としてハンドルの中心に掌底を喰らわす。
ベトナムの交通事情は、いささか攻撃的ではあるが、そういった思いやりの相互関係によって成り立っているはずだ。

そうでなければ運転手の悪趣味としか思えない。

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車内。
無駄に近未来的なライトの発色がいい。

夜の7時に出発して、朝の8時に到着。
特に予定も立てないまま宿に荷物を置き、ベトナム最後の王朝という阮朝王宮にでも行ってみるかと、自転車を借りる。

借りてそこまで到着したのはいいけれど、降りてすぐに「コンニチハ」と声をかけられ、振り返ればそこに彼がいる。

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冷やかしのつもりで話だけ聞いてみると、彼の名前はTyさん。
「1日13ドルで俺をチャーターしてくれよ!メシも奢るからさ」とのこと。
空腹で王宮内を巡るのもしんどいし、何しろまだ開いてないというから、もうそれでいいやと交渉成立。

早速飯に連れていかれるが、着いた店が田舎のはずれにある地域密着型の食堂だったため、「これはもしかすると、Tyさんとここのシェフが手を組んでいて、睡眠薬を飲まされるパターンのやつじゃないか。」とネットで得た知識が脳髄を駆け巡る。
万事休すだ。
眠気を殺しそうな真っ赤な香辛料が出てきたので、起死回生のトッピング。
悪あがきだとしてもやらないよりはやったほうがいい。
来るなら来い。

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もしなにかあった時のためのダイイングメッセージとして撮ったのだけれど、なかなかおいしかった。
入れた香辛料のおかげでビッショリ汗をかきながら完食。
疑ってごめんなさい。

食事を終え、今日の予定を確認する。
バンコクで、あんまり寺院とかは興味がないことに気付いてはいたのだけれど、宿のスタッフもほかにおすすめ出来るようなところはないと言っていたため、たまにはいいかとすべて任せることにした。

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一番印象的だったのが、アメリカとベトナムの建築様式を融合させた、フエ大教会。
中ではちょうどドキュメンタリー番組の撮影が行われており、今年公開予定のマーティン・スコセッシ『沈黙』を思い出す。
それ以外はあまりグッとこなかった。

約5時間一緒に見て回り、阮朝王宮まで戻ってくる。
ちょうどそのタイミングで雨がぱらついてきたので、一番興味があったそこは見学できずに帰途へとついた。

東南アジアの日中は暑すぎる。
熱のこもった身体をいち早く冷却するためにドミトリーの扉を開けたところ、上半身裸のおばあさんと横になった若い欧米女性の姿が。
おばあさんがキャッと胸元を布団で隠し、どっと疲れが押し寄せる。

ソーリーと謝りとりあえず風呂に入って仮眠をとったが、その夜ボリビア出身というおばあさんとディナー(150円くらいの炒飯)を食べに行ったのはここだけの話だ。