沈黙
日本人宿に泊まっていると、時間があっという間に過ぎていく。
かなり間が空いてしまったけれど、やっぱり生きてます。
7月15日。
大学生とチャリンコでアンコールワットを見に行ったけれど、体力の差に愕然としてしまった。
まず、僕の提案で真っ昼間の13時発にしたのが間違いだった。
風はあるのだけれど、あつあつのフライパン上を疾走しているようで、まぁしんどい。
大学生に追いつこうとするのだけれど、2分後には10m後退の繰り返し。
「そんなに急いでも世界遺産は逃げないよ」と軽口をたたいてみたところ、「一日券が17時30分までらしいですよ!」とのこと。
なるほど、夜は夜でライトアップとかされるものとばかり思っていたけれど、やはり世界遺産。そんなチャラいものではないらしい。
てことは急がなければならない。
とりあえず水を買っていいかい、と提案し露店にて「アイスクリームを奢ってあげよう」と胸を張ったら、「急ぎましょう」とのこと。
やっとたどり着いたチケット売り場で顔写真入りのワンデイパスを入手し、さぁ見学だと思ったら、またそっから4kmほどあるとのこと。
何やら森の奥にそれはあるらしい。
期待度と比例して疲労もたまっていく。
遺跡のある一画へは、よく見る写真の後方からたどり着いたらしい。
周囲が池となっており、その向こう側で木々に囲まれているのがアンコールワット。
距離は長くなってしまったけど、後ろから回ったのが、正解だったと思う。
この池がずっと存在しているものなのか分からないが、明らかに向こう岸の雰囲気が不気味だったからだ。
ツアーとかだったら、この不気味さを感じることは無かったかもしれない。
初めてこのアンコールワットを発見した探検家は、さぞかし恐怖を抱いたのではないかと思う。
というのも、正方に囲んでいる木々の不気味さと、遺跡本体の美しさが、あまりにもアンバランスだったため。
恐怖の感覚の後に、美しいというか、荘厳なものを目撃すると、畏怖の念を抱くんだなぁと思った。
正面からの遺跡は、やはり言葉にならない迫力があった。
昭文社の書籍で世界遺産人気ランキング一位になってたので、ハードルが上がっていたけれど、やっぱり本物を見ると圧倒される。
※赤い服着た人は、めっちゃ美人な台湾人さん。
隣のアンコールトムも見てみた。
バイロン寺院はアンコールワットの方よりも渋い感じ。
ごろごろ石が横たわる、破壊の寺。
タプロームは、やはり時間が間に合わず入場できず。
「川上さんがアイスクリームとか言わなければ」と憎まれ口をたたかれたため、
「まぁいいじゃないか。今日のうちに誰か日本人見つけるから、明日乗り合い(割り勘)でベンメリア行こうよ。」と起死回生をはかった。
それから帰り12kmの道中で翌日の計画を練ったけれど、結局、極限まで達していた疲労により、ビール飲んですぐ、死んでしまった遺跡のように夢に沈下していった。
大学生、ごめんなさい。